六味丸 (ろくみがん)


【処方コンセプト】老化の予防と発育促進に。

このタイプの方は、下肢が疲れやすく、疲れると手足がほてり、口が渇くものに使う。このような方ののぼせ、目の充血、寝汗、腰痛にも。また、小児の発育障害にも応用される。

六味丸適応症

◆六味丸は腎虚の基本処方で、腎陰虚証(腎の基礎物質の不足)に用いる。一方、腎陽虚証(腎のエネルギーの不足)には八味地黄丸を用いる。陰虚は熱の症状、陽虚は冷えの症状が顕著にあらわれる。

◆小児は先天の気が充実しているので、相対的に腎陰や腎精が不足することが 多く、歩行や運動、言語の発達、歯の発育の遅れ、夜尿などの症状があらわれ、六味丸で対応できる。

◆そのほか、大人でもよく見られる腎陰虚の症状には次のような特徴がある。

◎皮膚は赤みを帯びて顔色も赤い。体が熱っぽく、手足がほてる。

◎体が乾燥傾向で、やせてくる。口が渇き、舌も乾き、口唇も乾燥して裂けることもある。

◎尿量は少ない。よく水を飲むのに尿量が少なくて、その色は濃い。

◎大便は硬く乾燥性で、便秘しやすい。

このような時に六味丸が適応する。

※六味丸には加減方が多い。知母・黄柏を加えて知柏地黄丸、枸杞子・菊花を加えて杞菊地黄丸、五味子・麦門冬を加えて味麦地黄丸などがある。

【処方構成】6味

本方は三補、三瀉の処方であるが、あくまでも地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)の補薬が中心(特に地黄)である。三補の働きは腎陰(あるいは腎精)を補い、発育の促進、老化の抑制を助ける。牡丹皮(ボタンピ)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)の三瀉の役割は、余分な熱や水滞を取り除いて補薬の効果を高め、処方全体の薬性を穏やかにし、長期服用を可能にする。

六味丸生薬構成
解表 清熱 利水 補気 補血 活血 温補 配合生薬数
桂皮 菊花 牡丹皮 黄柏 知母 茯苓 沢瀉 車前子 山茱萸 山薬 地黄 枸杞子 牛膝 附子
六味丸 6 腎陰虚
杞菊地黄丸 8
知柏地黄丸 8
八味地黄丸 8 腎陽虚
牛車腎気丸 10
処方名 類方鑑別
六味丸 腎陰虚のファーストチョイス。小児の発育障害と老化の予防に使われる。
杞菊地黄丸 六味丸に目の疲れ、かすみや充血をとる枸杞子・菊花を加えて、六味丸タイプに目の症状を伴うものに使われる。
知柏地黄丸 六味丸にほてり、のぼせ、イライラなどの熱をとる知母・黄柏を加えて、六味丸タイプで熱症状、イライラが強いものに使われる。
八味地黄丸 腎陽虚のファーストチョイス。腰から下が冷えると重だるく、夜間排尿のある方に使われる。
牛車腎気丸 八味地黄丸にむくみ、しびれをとる牛膝・車前子を加えて、八味地黄丸の働きをさらに強化した。


      

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