漢方処方解説
黄連解毒湯 (おうれんげどくとう)
【処方コンセプト】顔がのぼせ、熱感があり、落ち着かないタイプに。
このタイプの方は、顔はのぼせて赤く、下肢にも冷えは感じない(実熱)。熱によるイライラや精神不安があり、落ち着きがないような感じを与える。からだの熱が旺盛な方に用いられ、疲労感は訴えない。
◆黄連解毒湯は、全身の「実熱」による諸症状を改善する。
◆実熱とは炎症と充血を伴う諸症を意味する。
◆赤ら顔、のぼせ、ときに鼻血などの出血傾向があり、精神不安、不眠、イライラなどの精神神経症状や胃部のつかえ、皮膚のカユミが強い場合に用いられる。
◆黄芩・黄連が主薬となった芩連剤のひとつで、心下痞(みぞおちのつかえ)の腹証を呈する。
◆顔がのぼせ、熱感があり、落ち着かないタイプの胃腸・循環器・皮膚疾患ほか神経症に用いられる。
【処方構成】4味
黄連(オウレン)、黄柏(オウバク)、黄芩(オウゴン)、山梔子(サンシシ)はすべて消炎・解熱作用をもち、炎症や脳の充血、興奮性の増大、および自律神経系の興奮、あるいは代謝亢進状態を改善する。主薬の黄連・黄芩は炎症充血を去り、心下(みぞおち)のつかえと不安あるいは肺部の炎症を治し、山梔子・黄柏は消炎に利尿をかね、黄連・黄芩と協力する。個々には、黄連は中焦(心や脾胃)の熱、黄芩は上焦(肺)の熱、黄柏は下焦(腎・膀胱)の熱を、山梔子は三焦(全体)の熱をさまし炎症をとる。薬性がすべて寒で、虚弱な冷え症タイプには適さない。
解表 | 清熱 | 瀉下 | 補気 | 理気 | 安神 | 駆瘀血 | 補陰 | 利水 | 配合生薬数 | |||||||||||||||||||||
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生姜 | 柴胡 | 桂皮 | 防風 | 菊花 | 薄荷 | 黄連 | 黄芩 | 黄柏 | 山梔子 | 石膏 | 大黄 | 人参 | 甘草 | 大棗 | 陳皮 | 半夏 | 枳実 | 釣藤鈎 | 竜骨 | 牡蛎 | 当帰 | 芍薬 | 牡丹皮 | 川芎 | 麦門冬 | 茯苓 | 白朮 | 蒼朮 | ||
黄連解毒湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | 4 | |||||||||||||||||||||||||
大柴胡湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 8 | |||||||||||||||||||||
柴胡加竜骨牡蛎湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 11 | ||||||||||||||||||
釣藤散 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 11 | ||||||||||||||||||
加味逍遙散 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 10 | |||||||||||||||||||
抑肝散加陳皮半夏 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 9 |
処方名 | 類方鑑別 |
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黄連解毒湯 | 熱による興奮で、落ち着きがない。熱証の代表薬。 |
大柴胡湯 | イライラが激しく、胃部が張って硬く、便秘することが多い。 |
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 精神疲労が強く、イライラもあるが不安感が強く、動悸や不眠を訴える。 |
釣藤散 | 起床時やイライラした時に、血圧が高くなり頭痛を訴える。老年性高血圧にも。 |
加味逍遙散 | 神経を使い過ぎた結果、疲れて何となくイライラするタイプの自律神経失調症、更年期障害に。 |
抑肝散加陳皮半夏 | ストレスを発散できずに、イライラして神経が高ぶり、チックや貧乏ゆすりなどとして現れる。 |